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映画『メッセージ』を観ました【感想】

 

こんにちは。

SF映画『メッセージ』を観たので、感想を書きたいと思います。

 

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※以下ネタバレに注意してください。

 

『メッセージ』は、地球にあらわれた未知の物体(ヘプタポッド)について、彼らの言語を解読するという物語です。

 

言語特性

言語を解読するにあたって、本作では「言語」の持つ特性についても言及がされています。SF作品で、言語についての解釈や仮説を取り出して、利用している作品はいくつかあります。

虐殺器官』では、言語は思考に先行する、思考は言語に規定されるという言語特性が言及されていました。

本作では、共通の言語によって特定の感覚を共有する可能性がある、という言語特性を示しています。『虐殺器官』でもアイヌ語を引用して似たようなことに言及していますが、本作では「感覚の共有」を単なる価値観の共有にとどまらず、そこから派生する認知機能として、もう少し広い解釈でフレームワークを展開していました。

 

未来認識

ヘプタポッドから与えられた言語によって人類は彼らと同じ時間感覚(つまり未来認識)を獲得しましたが、それについていろいろ考えることができます。

 

まず、ルイーズが感じるフラッシュバックの場面が、未来認識であったこと。未来視の言語特性が明らかになったのは物語終盤だったので、その場面が未来のことであると気づいたときにとても驚きました。同時に納得する点がいくつもあり、物語の構成に感心しました。

 

そしてヘプタポッドが未来を知っていたこと。未来を知っていたヘプタポッドは人類に言語を伝えるために地球に来たわけですが、当然地球で起こりうることも知っていたのでしょう。ルイーズが最後、辛い未来があることを知りながら未来を変えようとしなかったのと同じように、彼らもまた、片割れが地球で死んでしまうことを知っていて受け入れていたのか、それともどうしても回避できないことだったのか、本作ではタイムパラドックスについての詳細な言及がなかったのでわかりませんが、それを認知していたことだけは確かです。

 

また、もしあれば、未来認識の獲得は人類史上おそらく最大級のパラダイム転換だと考えられます。というのも未来認識がもたらすのは単一の技術だけでなく、様々な技術やシステムの知識を未来から得ることができるので、さまざまな分野でのイノベーションを促進する可能性があります。

 

そういえば、本作ではヘプタポッドの超人類的技術についてはこれといって言及されていませんでしたが、未来が視えれば技術が進むというのは言われてみれば当然のことのように思えますね。